ゲッティセンターの歴史と起源
ロサンゼルスのブルンズウッド地区に位置するゲッティセンターは、ゲッティ美術館、そしてゲッティトラストが展開する様々なプログラムが集う、壮大なキャンパスとしての役割を担っています。拡大を続けるコレクションと、進化する機関としてのニーズに応えるべく、この地は開発されました。キャンパスとその周辺インフラの完成には、推定13億ドルもの巨額の資金が投じられ、1997年12月16日、ついにその門戸が一般に開かれました。
この施設は、J.ポール・ゲッティ美術館が擁する二つの拠点のひとつです。もうひとつの拠点であるゲッティ・ヴィラは、パシフィック・パリセーズに位置しています。ヴィラがコレクションの異なる側面を専門とする一方で、ゲッティセンターは、ヨーロッパ絵画や古代美術を含む美術館の多様な所蔵品を収める主要な空間となっています。この丘の上のキャンパスの誕生は、南カリフォルニアにおけるトラストの物理的な存在感を飛躍的に拡大させる、歴史的な足跡となったのです。
建築とキャンパスの佇まい
サンタモニカ山脈の広大な敷地のうち、約24エーカーを占めるこのキャンパスは、自然と建築が織りなす壮大なタペストリーのようです。海抜約270メートル(900フィート)の高みに位置し、眼下には太平洋の雄大な水平線と、幾重にも重なる山々の稜線が広がります。1984年から1997年にかけて建設されたこの建築群は、建築家リチャード・マイヤーの手によって、30インチの正方形を基本としたグリッド構造のもとに設計されました。コンクリートとスチールを骨組みとし、外装にはトラバーチンやアルミニウムが用いられ、その開発には約1,200,000平方フィートものトラバーチンが惜しみなく投入されました。
この設計において最も特筆すべきは、人工的な建築物と周囲の自然景観との見事な調和です。丘の上のキャンパスと来館者用駐車場を結ぶのは、3両編成のケーブル駆動型ホバートレインであり、移動そのものが風景を楽しむ体験となります。また、この施設は「LEED for Existing Buildings®」認証を取得しており、この特定の指定を受けた最初の施設として、環境への配慮においても先駆的な役割を果たしています。キャンパス内には、Robert Irwinが手がけた「セントラル・ガーデン」が広がっています。そこでは、水、植物、そして彫刻が一体となり、訪れる者を静謐な美しさへと誘います。
多彩な芸術品と古代の至宝
ゲッティセンターが誇るコレクションは、時代や媒体の枠を越え、驚くほど広範な世界を内包しています。特に20世紀以前のヨーロッパ絵画や素描には深い情熱が注がれており、何世紀にもわたる職人技の結晶である彩飾写本や装飾芸術が、歴史の重みを伝えています。これらの至宝は、厳選された古代の遺物とともに展示され、観る者を悠久の時へと誘います。さらに、1830年代から現代に至るまでの写真コレクションも収蔵されており、世界中の多様な視点が切り取った一瞬の美しさを提示しています。
この美術館の魅力は、芸術がキャンパスの風景そのものと溶け合っている点にあります。屋外のテラスや庭園には彫刻が配され、自然の息吹とともに静かに佇んでいます。特にロバート・アーウィンが設計した「セントラル・ガーデン」は、計算された秩序の中に美を見出すための特別な空間です。ここでは、自然の風景と芸術が対話し、鑑賞者は日常を離れ、自然の中で作品と直接向き合うという、至高の体験を味わうことができるのです。
- フィンセント・ファン・ゴッホによる『アイリス』
- 1873年作『海辺の日の出』 - クロード・モネ
- 1862年作『鍬を持つ男』 - ジャン=フランソワ・ミレー
- 1870年作『散歩』 - ピエール=オーギュスト・ルノワール
ゲッティ・コレクションの傑作たち
このコレクションには、フィンセント・ファン・ゴッホのアイリスをはじめとする、ヨーロッパの伝統を象徴する極めて重要な作品たちが並んでいます。この絵画は、コレクションの核心をなす至宝といえるでしょう。その傍らでは、1873年に描かれたクロード・モネの朝焼け、海が、印象派運動の息吹を鮮やかに伝えています。また、1870年の作品であるピエール=オーギュスト・ルノワールの散歩もここに収蔵されており、光の戯れと日常の営みへの深い眼差しを映し出しています。
さらに、1862年に制作されたジャン=フランソワ・ミレーの草をかう人といった、歴史的な価値を持つ作品も欠かせません。美術館には、ジェームズ・アンソールによる1888年の傑作ブリュッセルへのキリストの入場も展示されています。これらの作品群は、19世紀から近代の黎明期に至るまで、多様な芸術運動を網羅する、豊潤なヨーロッパ絵画の系譜を形作っています。
研究と保存への取り組み
ゲッティセンターは、視覚文化の探求と保存における中核的な拠点として機能しています。ゲッティ保存研究所は、約8万平方フィートに及ぶ専門的なスペースを擁し、最先端の設備を備えています。そこには、素材の劣化を科学的に分析するために設計された高度な研究所が設けられており、こうした技術的な研究が、コレクションに収められた至宝たちの長期的な安定と保存を支えているのです。
また、ロサンゼルスに位置する研究図書館として、ゲッティ研究研究所が重要な役割を担っています。この機関には45万冊もの蔵書があり、研究者たちは美術史に関する膨大なアーカイブに触れることができます。一次資料や専門的なコレクションとの直接的な対話を通じて、多様な芸術的伝統や歴史的背景を深く掘り下げるための貴重なリソースが、ここには集結しているのです。
