アクロン (オハイオ州) / アメリカ合衆国
アクロン(Akron)は、アメリカ合衆国オハイオ州北東部に位置する都市。クリーブランドの南約55kmに位置する。人口は199,110人(2010年国勢調査)で、オハイオ州ではコロンバス、クリーブランド、シンシナティ、トレドに次ぐ第5の都市である。アクロンに郡庁を置くサミット郡、およびその東に隣接するポーテージ郡の2郡からなる都市圏は703,200人(2010年国勢調査)の人口を抱えている。より広域的には、アクロンはクリーブランドの広域都市圏に含まれており、その人口は350万人を超える。 アクロンは1825年に創設され、その初期から運河交通の要所となり、様々な産業が興った。南北戦争前後から20世紀初頭にかけては、北軍の食糧となったオーツ麦のバー、全米初のパトロールカー、ヨードを添加した食塩など、次々と発明品が生み出された。同じ頃、グッドリッチ、グッドイヤー、ファイアストン、ゼネラルタイヤと、タイヤメーカーが相次いで創業し、これらタイヤメーカーが労働者用の住宅地開発にあたったこともあって、1910年代の10年間で人口は3倍増、工業都市として高成長を遂げたアクロンは「世界のゴムの都」と呼ばれた。20世紀も後半に入るとタイヤメーカーは買収や移転で次々とアクロンを離れ、グッドイヤーを残すのみとなったが、残された研究インフラの存在によって、アクロンはポリマー産業の中心地へと変貌を遂げてきている。 産業面以外でも、アクロンは革新的な出来事が多く起きた街であった。1847年には、今日全米で標準となっているK-12の学年制教育の先駆けとなったアクロン学校法が成立した。南北戦争前夜には、ジョン・ブラウンがアクロンを事業活動の拠点とし、元奴隷であったソジャーナ・トゥルースが奴隷制度廃止と女性の権利を訴える演説をアクロンで行った。全米で初めて、アルコール依存症が疾患として認められ、治療が行われ、アルコホーリクス・アノニマスが発祥したのもアクロンであった。