シンシナティ / アメリカ合衆国
シンシナティ(Cincinnati)は、アメリカ合衆国オハイオ州南西端に位置する都市。州都コロンバスの南西約170km、ケンタッキー州との州境になっているオハイオ川の河畔に位置する。人口は296,943人(2010年国勢調査)で、コロンバス、クリーブランドに次ぐ州第3の都市である。シンシナティに郡庁を置くハミルトン郡を中心に、オハイオ・ケンタッキー・インディアナ3州の16郡にまたがる都市圏は2,137,667人、これに2つの小都市圏を加えた広域都市圏は2,197,197人(いずれも2010年国勢調査)の人口を抱えている。 1788年に創設され、その翌々年にシンシナティ協会から名を取ってシンシナティという地名がつけられた。19世紀前半から中盤にかけては、シンシナティは食肉加工の中心地、そしてオハイオ川の河港都市として発展し、1850年には全米第6の都市へと成長した。しかし、19世紀も後半に入り、交通の主役が蒸気船から鉄道へと移ると、その連節点として高い成長を遂げるようになったシカゴやセントルイスに追い抜かれ、シンシナティは成長しながらも、その相対的な地位は低下した。その後も20世紀中盤までは緩やかではあるものの成長を続け、1950年には人口50万人を超えたが、その後は減少に転じている。 それでもなお、シンシナティは地域の経済、交通、教育、および文化の中心地の1つであり続けている。シンシナティ都市圏にはクローガーやプロクター・アンド・ギャンブルをはじめ、フォーチュン500に入る企業が7社本社を置いている。デルタ航空のハブ空港の1つであるとともに、DHLのスーパーハブであるシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港を空の玄関口とし、陸路においても、3本の州間高速道路が交わる。ダウンタウンの北にはシンシナティ大学およびザビエル大学がキャンパスを構えている。MLBのシンシナティ・レッズ、およびNFLのシンシナティ・ベンガルズは、ともにシンシナティのオハイオ河岸に本拠を置いている。全米でも最古の部類に入るシンシナティ交響楽団やシンシナティ・オペラが本拠地とする音楽堂や、シンシナティ出身の大統領、ウィリアム・タフトの異母兄の邸宅であったタフト美術館など、文化都市としての歴史の長さを示す文化施設も数多く立地している。